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路線紹介
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常磐線は、上野から仙台にいたる路線であるが、これは東北本線の支線である。そのため、正式な常磐線の区間は、日暮里から岩沼の間である。上野〜取手間は直流電化、取手〜仙台は交流電化となっている。これは沿線にある気象庁地磁気観測所のに影響を与えないようにするためで、都心から比較的近い地点でデッドセクション(死電区間)が設けられている珍しい路線でもある。しかし、それがあだとなり、運転系統が大別されている。上野寄りは103系やE231系の直流電車が快速運転を行っているものの、取手以北への乗り入れは運用できる電車が415系、E501系などの交直両用電車に限られてしまうため運転本数が激減する。ベッドタウンとしての開発が進んでいる上、並行する路線が無いことや、枝分かれする他線・他社線からの乗り換え客が一極集中し、通勤通学時間帯の混雑は著しい。混雑の影響で電車の遅延は慢性的になっている。新型電車への置き換えやつくばエクスプレスの開業が混雑緩和への鍵になることだろう。
綾瀬〜取手間は複々線化されていて、東京メトロ(旧:営団地下鉄)千代田線が乗り入れている。この区間に関しては、常磐緩行線と常磐快速線というように呼び方が替わっているが、緩行線のことをそのまま千代田線と呼ぶこともあったりとまちまち。
一方、水戸付近から仙台方面へはローカル色が漂う路線になっていて、415系などの近郊型電車のほか、元急行型電車が運用されている。
優等列車は、基本的にスーパーひたち、もしくはフレッシュひたちである。水戸の偕楽園で梅の花が咲き乱れる頃その他では観光要素の高い列車であるが、普段は通勤特急としての色が強い。かつては常磐線経由の寝台特急もあった。
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実車について
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言わずと知れた103系電車は、国鉄の中でも最大勢力の車輌数があり、総勢3000両を超えていた。101系を改良した通勤型電車で、歯車比を変えるなどして山手線などの駅間の短い線区用に合わせたもの。製造年度ごとに改良や更新などが加えられたため、スタイルも多岐にわたる。初期車は101系に似ているがちょっと違う低運転台タイプ、後期はATC搭載に伴った高運転台タイプで大別される。冷房搭載車、冷房改造車、地下鉄乗り入れ用1000番台、1200番台、九州のみ在籍する1500番台などが存在。そのほかにも派生形として、73系アコモ改造車から改造された3000番台、川越線用3500番台、播但線用、その他いろいろである。
近年の傾向として、JR東日本では101系、103系を一斉淘汰するため新型電車を続々と投入しており、首都圏と仙台地区で103系が見られなくなるのも時間の問題である。一方、JR西日本では延命更新工事がなされたが、321系の導入計画が立ち上がって風前の灯といえる。
常磐線では、103系史上まれにみる15両編成という、おそらく設計上ではまさに「ありえな〜い!」編成を組んで運用されている。しかも、駅間が長いのに、駅間の短い山手線用に設計された103系が運用されているのも、ある意味「ありえな〜い!」わけである。そんな103系はE231系の大量投入で一気に置き換えが進んだ。2005年8月のつくばエクスプレス開業までに103系の全車撤退は確実と見られる。
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模型について
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KATOでは低運転台タイプ(いわゆる一般形)と高運転台(ATC車)を、TOMIXでは高運転台(ATC車)を発売しているが、あまりにも定番過ぎる形態である。JR化後は更新や改造などによりイレギュラーな103系が多数を占めるようになってきた。GREENMAXからも同じように103系がキットで製品化されているが、近年の103系の更新車・改造車などは、これらの改造工作をしないと再現できないのが実状である。
そんな中MicroAceは、常磐線の103系と、大阪環状線の103系N40更新車をそれぞれ製品化したのである。常磐線はJR東日本のありとあらゆる103系が大集合していることから、いろいろな形態の車輌が適当に連結されて運用されている。おそらくは、この常磐線のセットをフルでそろえると、これら多種多様の103系の違いを楽しむことができるというコンセプトが隠されていると考えられる。
本製品は、各車の生い立ちから推測するに、1993年頃までの松戸電車区の24番編成ではないかと思われる。
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編成図
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本セットは、取手側に連結されるいわゆる付属編成の5両である。付属編成は、ラッシュ時を中心に増結されているが、ごくまれに、付属編成を3本連結した15両編成や、2本連結した10両編成が運転されていたようだ。
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クモハ 103-124 (Mc) |
モハ 102-265 (M) |
モハ 103-184 (M) |
モハ 102-339 (M) 動力車 |
クハ 103-125 (Tc) |
← 取手 |
上野 → |
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製品画像
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それでは、各車の製品の画像とその解説など。
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クモハ103-124
取手側の先頭車。冷房装置は分散式のAU712をSIV付きで搭載している。パンタグラフもあるし、冷房装置は分散式だしで、屋根の上はやけににぎやかである。ダミーカプラーがなんだか低いので、これは TNカプラーに交換しようと考えているところである。
なお、実車の末期は松戸電車区24番編成の一員。2003年3月に廃車になっている。
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モハ102-265
パンタグラフのない電動車で、上記クモハ103とユニットを組む。同じくAU712を搭載しているので、実車に冷房改造工事が行ったのは一緒だったようだ。それにしても、隣の車輌との連結面の間隔が開きすぎているので、 TNカプラーないしKATOカプラー密連にでも交換したほうが良さそうである。
なお、実車の末期は松戸電車区24番編成の一員。ユニットを組んでいた上記クモハ103-124と共に運用離脱となったようだ。
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モハ103-184
パンタグラフ装備の電動車。屋根上は集中式のAU75を搭載している。窓が非ユニットサッシであるし、車番からもわかるとおり初期車である。
なお、実車の末期は松戸電車区33番編成の一員で、2004年2月に8番編成と共に運用離脱となった。
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モハ102-339
パングラフの無い電動車で、上記モハ103とユニットを組む。AU75を搭載しているので屋根上はどちらかといえばシンプル。窓が非ユニットサッシである通り、初期車の仲間である。なお、上記モハ103と共通して貫通扉の窓の大きさが変である。その件については後述する。
なお、実車の末期は松戸電車区33番編成の一員で、2004年2月に8番編成と共に運用離脱となった。
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クハ103-125
上野側の先頭車であるが、増結時には中間連結されてしまうので表舞台に立つことは少ない。こちらも先頭のダミーカプラーを TNカプラーに交換しようと画策中。なお、屋根上は冷房装置がAU712である。
なお、実車は1993年6月に中原電車区へ異動、鶴見線T8編成として配備された。2004年9月に鎌倉総合車両センターへ回送され廃車となっている。
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各所画像
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前節に続いて、ピックアップした画像をいくつか。
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連結間隔
これといった特徴のある画像ではないが、妻面の連結間隔が思いのほか広いところが気になる。先述した通り、 TNカプラーないしKATOカプラーへの交換はおすすめ事項と考えられる。
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AU712装備の完成品
よくよく考えると、TOMIXでもKATOでも、AU712装備の103系が製品化されたことはない。AU712といえば、GMキットの改造パーツを思い浮かべるわけだが、ランボードをつけたりといろいろな作業を考えると、完成品はあったらあったでうれしいかもしれない。
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細かい点いろいろ
所属や車番は印刷済みであるほか、シルバーシートのマークまで印刷されている。ということは、窓に貼られた優先席ステッカーが掲示されるより前の姿ということになる。AU712による冷房改造工事といえばJR東日本ならではの手法であるから、JR化後になるわけで、この製品のモデルは1990年代(前半)だと考えるのが良いのか。
なお、MicroAceといえばやたら繊細なパンタグラフが装備されているわけだが、一度立ち上げると、折り畳めなくなるのは仕様なのか。
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貫通扉
この写真は妻面を写したものである。AU712を搭載しているほうの車輌が左、AU75を搭載しているほうの車輌が右だ。右の写真はピンボケしてしまって申し訳ないが、それでもこの貫通扉はなんだか変だ。扉の窓の大きさ、形が何だか変なのだが。何が変なのかといえば、とても言いづらいわけだが、縦長に見える…というか、要するに横幅が少なすぎる。と思うわけだ。私の目が確かならば。
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総評
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全体的にまぁまぁ良い仕上がりなのではないかと思われる。MicroAceならではの連結器の問題、パンタグラフの問題については、他社製品への交換で解決できそうだ。塗装がどぎつい感じがするが、全般検査から出場したあとだと思えば問題はなかろう。パーツの交換のほか、これから、行き先方向幕シールの貼り付けや、JRマークのインレタの転写などをしていきたいところである。
撮影の際、ジオラマレールを使いました。
実は衝動買いをしてしまった一品で、どのように使うかを考えていたわけだが、後日作成予定の103系1000番台をこの編成に引っ張ってもらおうかと考えている。
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参考
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本製品のモデルとなった編成を組む車輌の生い立ちなどは下記サイトを参考にした。