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路線情報
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飯田線は、豊橋駅(愛知県豊橋市)〜辰野駅(長野県辰野町)を結ぶ、195.7kmの路線である。もともとは豊川鉄道、鳳来寺鉄道、三信鉄道、伊那電気鉄道の4社の路線で、国有化と共に統合され、飯田線という1本の路線となった。もともと私鉄だったこともあり、駅間が短く、駅数も多い。なお、豊橋側の一部区間は名古屋鉄道と線路を共用しているため、名鉄の電車とJR東海の電車が交互に走る光景を見る事が出来る。
各駅停車が中心の長大ローカル線であるが、全線を通しで運転される普通列車もある。全線を通しで乗った場合、6時間程度かかるようだ。また、速達系の列車としては特急「伊那路」、快速「みすず」がある。
現在は伊那路用に373系が、普通列車用に313系、119系、115系といった電車が用いられている。もともと電化路線だったこともあり、過去には他の路線から転属してきた旧型国電や統合前の自社発注電車が使われていた。
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実物車輌情報
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クハニ67形900番台(クハニ67900〜)は40系に属する電車で6両が存在した。乗務員室の付いた付随車であるが、荷物室と客室を分けている構造になっているいわゆる「合造車」である。通常番台のクハニ67形は新車として製造されたが、900番台はもともとは伊東線、横浜線、常磐線などで使われていたクハ55形からの改造車である。クハ55形でありながら、既に荷物運用に充てられていたこともあって、更新修繕を行う際にクハニ67形900番台として改めたようだ。経緯があるため、通常番台とは風貌や内装が異なり、客席はロングシートになっていることが特筆される。荷物室の扉はもともと客用の扉だった痕跡が見て取れるため、無理やり改造した感が否めない風貌となっている。本製品に含まれるクハニ67形901号車(クハニ67901)は元を辿るとクハ55形093号車(クハ55093)である。
クモハ54形100番台(クモハ54100〜。)は51系に属する電車で、乗務員室の付いた電動車である。もともと40系のモハ60形をロングシートからセミクロスシートに改造して51系に編入したという経緯がある。通常番台のクモハ54形との外見上の違いは、屋根の上の通風器(ベンチレーター)の配置や、扉と扉の間の客窓の数や大きさである。これらは同じ3扉でありながら、ロングシートの40系とセミクロスシートの51系の違いをそのまま引き継いでいることによるようだ。また、一概に100番台と言ってもウィンドシル・ヘッダーが付いているものと、それが無いものもあるため差異は様々である。本製品に含まれるクモハ54形110号車(クモハ54110)は元モハ60形038号車(モハ60038)、クモハ54形125号車(クモハ54125)は元モハ60形094号車(モハ60094)である。
クハ68形400番台(クハ68400〜)は51系に属する電車で、乗務員室の付いた付随車である。0番台は純粋なクハ68形であるが、その後に作られたクハ68形は他形式からの改造によって編入されたものが多い。400番台もその一例で、路線区間が長い飯田線のためにトイレを設置する改造を行ったグループで16両が存在していた。しかも、もともとクハ68形だった車両もあれば、クロハ59形、クハ55形(平妻形)、クハ55形(半流形)から改造された車両の4タイプがあり、各車ごとに経歴は複雑である。本製品に含まれるクハ68形400番台の経歴を辿ると、最初は半流形のクハ55形092号車(クハ55092)で、ロングシートからセミクロスシートに改造されてクハ68形102号車(クハ68102)となり、その後トイレが設置されてクハ68形412号車(クハ68412)となった。
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模型について
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「クモハ54-100 スカ色 飯田線4両セット」は、2007年7月にMicroAceから発売された製品で、40系と51系の飯田線末期の編成を再現したもの。スカ色(横須賀色)のクハニ67901、クモハ54110、クモハ54125、クハ68412の4両が入ったセットである。
同時に品番A-2354「クモハ41・51・60 大糸線6両セット」も発売された。こちらはスカイブルーである。
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編成図
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連結すると、下記のような4両編成になる。
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クハニ 67901 (Tgc) |
クモハ 54110 (M) |
クモハ 54125 (M) 動力車 |
クハ 68412 (Tc) |
← 豊橋 |
辰野 → |
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付属品
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付属品はいつもどおりの行き先方向板(サボ)のシールと、他社製カプラー用のアダプターである。
シールに収録されている行き先方向板(サボ)は、「豊橋‐辰野」とその反対向きの「辰野‐豊橋」、「天竜峡‐辰野」とその反対向きの「辰野‐天竜峡」の2種類である。残りは大糸線用の「松本‐南小谷」と「南小谷‐松本」、「松本‐信濃大町」と「信濃大町‐松本」である。
行き先方向板(サボ)だが、取り付け位置については説明書に記されていない。実車の記憶や記録がある方はその通りに貼り付けを行う。私のように実車を見たことの無い人や知らない人はサボの取り付け位置を文献やネットで調べ、それに倣って貼り付けることとなる。調べてみたところ、全車一律に同じ位置に貼るとは限らないようなので注意が必要である。
シールに運行番号は用意されていなかったので、気になる方はGREENMAX等の他社製品のシールを用意して工夫の上で取り付けることとなるだろう。また、シールは光る方向幕向けに作っているためかスケスケなので、車体に貼ると車体の色がそのまま出てきてしまうので、こちらもGREENMAX等の他社製品のシールを用意したほうが見栄えが良さそうだ。
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製品画像
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ひとまず編成全体の写真のみ掲載。各部詳細については後ほど写真を追加する予定。
ポポンデッタ川口店にて撮影 |
編成全体
連結して4両編成にした状態である。
行き先方向板(サボ)のシールの貼り付けは行ったが、カプラーは購入当初のアーノルドカプラーのままである。
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クハニ67901
クハ55形の面影を残すクハニ67形901号車である。トイレが設置された車両のため、反対側の車端部にはトイレの表現もある。荷物室の扉は奥まった印象をつけるために別パーツとなっているようだ。
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クモハ54110
上記のクハニ67形901号車とコンビを組むクモハ54形110号車である。パンタグラフを上げてみたところ頑丈な印象で、昔の製品のような貧弱さが感じられないところは良い。
乗務員室側のカプラーはボディマウント形のアーノルドカプラーでバネで首振りを制御している。715系などで採用されているタイプの部品のようだ。しかしながら、連結面の間隔が広いので、TOMIX製のTNカプラーに取り替えたほうが良さそうな印象である。
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クモハ54125
同じくクモハ54形の125号車である。奇数車であるので先ほどの110号車とは床下機器の向きが逆となる。こちらは動力車の設定があるので床下機器を見てみると同社製の103系並みにギッシリ、という感じである。抵抗器がグレーに着色されているため、そちらに目が行くことで、大きな動力ユニットが目立たないような錯覚を覚える。動力装置そのものはフライホイールが採用されているのか、非常にスムーズに走行する。
先ほどと同じく乗務員室側のカプラーはボディマウント形のアーノルドカプラーである。先述した通り連結面の間隔が広いので、TOMIX製のTNカプラーへの交換を検討したいのだが、交換の際にはジャンパ管が引っ掛からないかどうか確認したほうが良さそう。
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クハ68412
上記のクモハ54形125号車とコンビを組むクハ68形412号車である。車端部にはトイレの表現がある。
この1両は他の3両とは異なり正面は独立した部品を使っているようだ。
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総評
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ヘッドライトは少々大きい気もするが、デフォルメの都合上ではこのくらいなのかもしれない。白色のLEDが使われているようで、白っぽい電球の表現がなかなか好印象である。テールライトも明るく点灯している。
4両に共通して言えるのは、乗務員室とその周辺を中心に、内蔵されている緑色のライトユニットが目立つことだ。同社製品のライトユニットの色は、乗務員室の壁にある薄い緑色が採用される場合と、ダークグレーが採用されている場合がある。いずれも極端に目立つ色ではないのだが、今回の製品は緑といっても蛍光色になっているため、余計に目立っているものと思われる。
車体の造型はまあまあ良いと思われるが、正面はどことなくシャープさに欠ける気がする。というのも、クハニ67とクモハ54は正面の金型に同じものを使い、サッシ部分や幌のパーツを変えることで作り分けを実現している。特にその交換式となっているサッシパーツは、窓枠と隙間ができているため、隙間からも窓ガラスが見えている。こればかりは気になってしまう人もいらっしゃるのではないだろうか。もうすこしカッチリはまっていれば、違和感がないのかもしれない。この手法は好みが分かれるところだろうか。
屋根上のベンチレーターはバリが残っているものがあるため、気になる人は削って修正するか、TOMIX等の他社別売パーツに交換するかのいずれかをしたほうが良さそう。信号炎管や屋根上ステップは大丈夫そう。
スカ色の塗りわけは綺麗なので、これまでキットに手が出なかった人、特に塗り分けが苦手な人にとっては救いの手ともいえるかもしれない。これを機に、未着手のGREENMAXキットの作成に挑みたいと思うところだ。
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参考
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このページを編纂するに当たり、下記サイトを参考にした。