しらこばと車輌工場

Google

トップREADYMADE  > 国鉄103系1000番台・常磐緩行線(営団千代田線直通)

日本国有鉄道103系1000番台・常磐緩行線(営団千代田線直通)
東京北鉄道管理局・松戸電車区51番編成

マイクロエース 品番:A0770 国鉄103系1000番台 千代田線 基本6両セット
マイクロエース 品番:A0771 国鉄103系1000番台 千代田線 増結4両セット

 MicroAceから発売された103系シリーズのひとつである。ここで紹介するのは、国鉄常磐緩行線用の103系1000番台セットである。

路線紹介

 常磐線は、上野から仙台にいたる路線であるが、これは東北本線の支線である。そのため、正式な常磐線の区間は、日暮里から岩沼の間である。上野〜取手間は直流電化、取手〜仙台は交流電化となっている。これは沿線にある気象庁地磁気観測所のに影響を与えないようにするためで、都心から比較的近い地点でデッドセクション(死電区間)が設けられている珍しい路線でもある。しかし、それがあだとなり、運転系統が大別されている。上野寄りは103系やE231系の直流電車が快速運転を行っているものの、取手以北への乗り入れは運用できる電車が415系E501系などの交直両用電車に限られてしまうため運転本数が激減する。ベッドタウンとしての開発が進んでいる上、並行する路線が無いことや、枝分かれする他線・他社線からの乗り換え客が一極集中し、通勤通学時間帯の混雑は著しい。混雑の影響で電車の遅延は慢性的になっている。新型電車への置き換えやつくばエクスプレスの開業が混雑緩和への鍵になることだろう。

 綾瀬〜取手間は複々線化されていて、東京メトロ(旧:営団地下鉄)千代田線が乗り入れている。この区間に関しては、常磐緩行線と常磐快速線というように呼び方が替わっているが、緩行線のことをそのまま千代田線と呼ぶこともあったりとまちまち。

 一方、水戸付近から仙台方面へはローカル色が漂う路線になっていて、415系などの近郊型電車のほか、元急行型電車が運用されている。

 優等列車は、基本的にスーパーひたち、もしくはフレッシュひたちである。水戸の偕楽園で梅の花が咲き乱れる頃その他では観光要素の高い列車であるが、普段は通勤特急としての色が強い。かつては常磐線経由の寝台特急もあった。

実車について

 言わずと知れた103系電車は、国鉄の中でも最大勢力の車輌数があり、総勢3000両を超えていた。101系を改良した通勤型電車で、歯車比を変えるなどして山手線などの駅間の短い線区用に合わせたもの。製造年度ごとに改良や更新などが加えられたため、スタイルも多岐にわたる。初期車は101系に似ているがちょっと違う低運転台タイプ、後期はATC搭載に伴った高運転台タイプで大別される。冷房搭載車、冷房改造車、地下鉄乗り入れ用1000番台、1200番台、九州のみ在籍する1500番台などが存在。そのほかにも派生形として、73系アコモ改造車から改造された3000番台、川越線用3500番台、播但線用、その他いろいろである。

 近年の傾向として、JR東日本では101系、103系を一斉淘汰するため新型電車を続々と投入しており、首都圏と仙台地区で103系が見られなくなるのも時間の問題である。一方、JR西日本では延命更新工事がなされたが、321系の導入計画が立ち上がって風前の灯といえる。

 常磐線では1971年より北千住〜我孫子間が複々線化され、緩行線(各駅停車)と快速線の分離と営団地下鉄千代田線との相互直通運転が開始された。国鉄側は乗り入れ用として103系1000番台を製造して東京北鉄道管理局・松戸電車区(現在のJR東日本・松戸車両センター)に配置した。地下鉄乗り入れに際し、正面に非常用の貫通扉が設けられて表情が変わったほか、モハ103では多段制御を行うため床下には数多くの抵抗器が並んだり、パンタグラフがPS21形となるなど、細かい仕様変更が行われた。また千代田線直通を示すため、灰色に緑色の帯という塗装となったことやJNRマークが描かれていることなども特筆される。編成はモーター車が8両に対してトレーラー車は先頭の2両だけとなるMT比率が8:2という強力なものとなった。ところが、103系1000番台は抵抗器が多いために大量に熱を発生させるため夏場の地下線内では蒸し風呂状態になるという難点や、営団地下鉄の6000系電車と比べると電気使用量が圧倒的に多いために国鉄は営団地下鉄に電気代を多く支払うことになるなど問題が山積みとなった。そのため、国鉄は1982年に乗り入れ用として203系を開発して投入することとなり、103系1000番台は順次快速線に転用されることとなった。その後、編成組み換えやエメラルドグリーン一色への塗装変更が行われ通常の103系と混ぜて快速線で運用されるようになった。また、余剰となった車両は105系に改造され関西地区のローカル線に転用された。

 JR化後しばらくは大きな変動はなかったが、E231系の大量投入で一気に置き換えが進み、103系1000番台は2004年3月までに全車が廃車となっている。そのほかの103系も2005年8月のつくばエクスプレス開業までに撤退完了が予想される。

模型について

 KATOでは低運転台タイプ(いわゆる一般形)と高運転台(ATC車)を、TOMIXでは高運転台(ATC車)を発売しているが、あまりにも定番過ぎる形態である。JR化後は更新や改造などによりイレギュラーな103系が多数を占めるようになってきた。GREENMAXからも同じように103系がキットで製品化されているが、近年の103系の更新車・改造車などは、これらの改造工作をしないと再現できないのが実状である。

 これまで、1000番台をはじめとする地下鉄乗り入れ用の103系は、基本的にGREENMAXのキットを活用して作成する必要があったが、千代田線・東西線の乗り入れ仕様などは細い帯の塗装で苦戦を強いられることがあった。MicroAceでは、分散クーラー搭載車や103系N40更新車などを過去に製品化したが、それに続いて地下鉄乗り入れ用の1000番台と1200番台、その派生の105系が製品化され、ますますバリエーションが増えたことは評価に値する。

 本製品は、車番から推測するに、東京北鉄道管理局・松戸電車区(北マト)の51番編成ではないかと思われる。

編成図

 基本セットと増結セットをそれぞれ連結すると、下記のような10両編成になる。

クハ103-1001 クハ103-1001 モハ103-1001 モハ103-1001 モハ102-1001 モハ102-1001 モハ103-1002 モハ103-1002 モハ102-1002 モハ102-1002 モハ103-1003 モハ103-1003 モハ102-1003 モハ102-1003 モハ103-1004 モハ103-1004 モハ102-1004 モハ102-1004 クハ103-1002 クハ103-1002
クハ103-1001 クハ103-1001 モハ103-1001 モハ103-1001 モハ102-1001 モハ102-1001 モハ103-1002 モハ103-1002 モハ102-1002 モハ102-1002 モハ103-1003 モハ103-1003 モハ102-1003 モハ102-1003 モハ103-1004 モハ103-1004 モハ102-1004 モハ102-1004 クハ103-1002 クハ103-1002
クハ
103-1001
(Tc)
モハ
103-1001
(M)
モハ
102-1001
(M)
モハ
103-1002
(M)
モハ
102-1002
(M)
動力車
モハ
103-1003
(M)
モハ
102-1003
(M)
モハ
103-1004
(M)
モハ
102-1004
(M)
クハ
103-1002
(Tc)
← 取手 代々木上原 →

製品画像

 それでは、製品の画像のダイジェストとその解説など。

クハ103-1002

クハ103-1002

 代々木上原側の先頭車。ATC機器が設置されているため、乗務員室扉の後ろには戸袋窓がない。また、屋根上には常磐無線アンテナが設置され、当時を偲ばせる。
 さて、ダミーカプラーがなんだか低い印象なので、これはTNカプラーに交換しようと考えているところであるが、増結する必要性もないのでダミーカプラーのままでも問題はないかと考えているところである。
 なお、実車の末期は松戸電車区11番編成の一員。2003年3月に廃車になっている。
モハ102-1003

モハ102-1003

 パンタグラフのない電動車。窓が非ユニットサッシであることのほか、側面方向幕や冷房装置が設置されていないことなどが表現されている。
 なお、実車の末期は松戸電車区11番編成の一員。2003年3月に廃車になっている。
モハ103-1003

モハ103-1003

 パンタグラフ装備の電動車。窓が非ユニットサッシであることのほか、側面方向幕や冷房装置が設置されていないことなどが表現されている。抵抗器がずらっと並んでいる床下や、パンタグラフ周辺の屋根が特徴である。
 なお、実車の末期は松戸電車区11番編成の一員。2003年3月に廃車になっている。

各所画像

 前節に続いて、ピックアップした画像をいくつか。

連結面を気にしてしまう写真

先頭車

 地下鉄乗り入れ用のため非常用の貫通扉が設置された特徴ある前面。方向幕シールは何種類からか選べるが、筆者は「霞ヶ関」を選択してみた。運行番号窓の上に描かれているJNRマークが偉そうである。
先頭車の屋根

先頭車の屋根

 当時の常磐線には独特の無線アンテナ(いわゆる常磐無線アンテナ)が先頭車の屋根に施されていた。103系が末期に搭載していた無線アンテナとは異なる。
パンタグラフ周辺

パンタグラフ周辺

 パンタグラフ周辺のアップ写真。パンタグラフ、避雷器、扇風機カバー、配管、増設されているヒューズ箱、延長されているランボードなどはこのような感じである。また、JNRマークや所属表記などもこの写真から参考程度にご覧いただきたい。
 なお、MicroAceといえば繊細なパンタグラフが装備されているのが特徴であるが、今回の製品はパンタグラフを上昇させても無事に畳めることが判明した。
貫通扉に注目

妻面・貫通扉

 この写真はモハ103-1003の妻面を写したものである。表現については無難な仕上がりではないだろうか。以前の103系製品では貫通扉の窓の大きさが怪しかったのであるが、その辺は改善された模様である。
床下に注目

動力車

 こちらの写真はモハ102-1002で、動力はここに搭載されている。先述したモハ102-1003と比べると、動力ユニットの機構が大きいためか、床下機器の表現がオーバーになっている。

総評

 MicroAceの103系シリーズは全体的にまぁまぁ良い仕上がりなのではないかと思われる。アーノルトカプラーのままでも貫通幌が設置されているため、あまり連結面が開いているようにも見えないため、カプラー交換などは行わなくても問題はないと思われる。

参考

 本製品のモデルとなった編成を組む車輌の生い立ちなどは下記サイトを参考にした。

戻る

本ウェブサイトに掲載している文書・画像等の無断転載を禁じます(リンクバナーを除く)。
キットの製作や模型の改造といった作業の実践は自己責任であり、状況によってはメーカー保証対象外になる可能性があります。
本ウェブサイトの利用により、いかなる損害が発生しましても、一切の責任を負いかねますのでご注意ください。

©2002-2008 Copyright by YUHIKO. All rights reserved.