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路線情報
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中央快速線は、中央本線のうち東京から新宿、豊田を経由し高尾方面へ至るオレンジ色の電車が走る通勤路線である。現在、御茶ノ水〜三鷹間は黄色い電車が各駅停車を担当し、中央緩行線として一緒に通っているので、このように呼び方で区別する。快速線を走る電車は名前が示すとおりどれも快速だが、新宿以西は「あずさ」、「かいじ」などの特急も運行されている。それにしても、快速だけで「特別快速」、「中央特快」、「青梅特快」など様々な種別があり、正直わけがわからん。
中央線の始まりは1889(明治22)年で、私鉄の甲武鉄道が新宿〜立川間、立川〜八王子間に線路を敷設した。日本で初めて「電車」の営業運転を行った会社であったが、1906(明治39)年に鉄道国有法によって国有化され、現在の中央線の一部となった。東京・秋葉原の万世橋駅跡などを見ると、甲武鉄道がどのような会社だったのかがなんとなく覗えるかと。
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実車情報
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101系電車は国鉄の新性能電車の先駆けで、登場当初は形式称号改正前だったためモハ90形と称された。通勤電車であろうが特急電車であろうが、始祖は101系電車である。最初に配置されたのは東京西鉄道管理局・三鷹電車区(西ミツ)で、中央快速線用としてデビューした。オール電動車で設計されたが、変電所容量が不足するため付随車を入れざるを得なくなったが、中央快速線では少数投入された103系に主役を譲ることもなく、201系に交代するまでメインで使われた電車である。中央快速線のほか、関東では中央・総武緩行線、山手線(一時)、京浜東北線(少数)、赤羽線、青梅線、五日市線、南武線、鶴見線、武蔵野線(1000番台)、関西では関西線、大阪環状線、桜島線、片町線で使用された。
このうち、800番台は中央東線乗り入れに際し、トンネル断面が小さいことから、高さ制限をクリアするためにパンタグラフのある部分の屋根を低くした電動車を有するグループである。
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製品概要
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▲ 基本セットと増結セットをそれぞれ連結した全体像。
MicroAceでは基本6両セットと増結4両セットの2セット構成で発売した。編成図は次の通り。
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クモハ 101-192 (Mc) |
モハ 100-807 (M) |
サハ 100-6 (T) |
モハ 101-108 (M) 動力車 |
モハ 100-805 (M) |
クハ 100-13 (Tc) |
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クハ 101-15 (Tc) |
サハ 101-34 (T) |
モハ 101-107 (M) |
クモハ 100-806 (Mc) |
← 東京 |
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高尾 → |
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各車画像
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模型の各車両の画像はこちら。
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クモハ101-192東京側の先頭車でパンタグラフの無い制御電動車である。実車の最終配置先は弁天橋電車区であるため、中央快速線を退いた後は鶴見線か? |
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モハ100-807クモハ101-192とユニットを組む中間電動車でこちらにパンタグラフを装備。800番台であるため、パンタグラフ付近の屋根が低くなっている。実車の最終配置先は弁天橋電車区であるため、中央快速線を退いた後は鶴見線? |
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サハ100-6中間付随車で、電装準備のため本来はパンタ台があるはずだが、模型では再現されていない。実車は後に武蔵野線用のサハ100-1001に改造されている。 |
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モハ101-108パンタグラフの無い中間電動車。模型ではここに動力ユニットが装備されている。そのため、床下機器がたっぷりである。 |
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モハ100-805モハ101-108とユニットを組むパンタグラフ付きの中間電動車。800番台であるため、パンタグラフ付近の屋根が低くなっている。 |
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クハ100-13基本編成の高尾側に連結される制御車。電装準備のため本来はパンタ台があったはずだが、模型では再現されていない。模型ではダミーカプラーが装備されているが、増結を行うためTNカプラーに交換した。 |
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クハ101-15付属編成の東京側に連結される制御車。模型ではダミーカプラーが装備されているが、増結を行うためTNカプラーに交換した。 |
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サハ101-34中間付随車。実車の最終配置は中原電車区ということで中央快速線を退いたあとは南武線か? |
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モハ101-107パンタグラフの無い中間電動車。 |
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クモハ100-806付属編成の高尾側に連結される制御電動車でモハ101-107とユニットを組む。800番台であるため、パンタグラフ付近の屋根が低くなっている。 |
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気になる点など
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本製品をめぐっての気になる箇所をいくつか取り上げる。
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屋根
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一番目立つ摩訶不思議な箇所といえば、屋根とベンチレーターの色である。屋根の色は明るいグレーというよりはベージュに近い色合いで、ベンチレーターは水色である。この辺の色合いはダークグレーやグレーを用いるのが定番であると思われるだけに、どうなのかなと思うところ。写真によってはこんな色に見えることもあるだろうが、あまりにも気になる方は塗り替えたほうが良さそうだ。
ベンチレータは色のほかに大きさもおかしい。GREENMAX製品やWIN製品の101系、または他の103系のベンチレータと比べると一回り小さい。これも気になる方は交換したほうが良いかもしれない。
▲ 一度上げたら畳めないパンタグラフ
パンタグラフはこの頃のMicroAce製品全般に言えることなのだが、繊細に作られている反面、一度上げると二度とうまく畳めないという構造的な問題が潜んでいる。KATO製品やGREENMAX製品のような頑丈さが感じられないため、取り扱いには十分注意したほうが良い。気になる方は、他社製品のパンタグラフへの交換をするのが良いだろう。なお、この問題については購入時に店主の中島氏から聞いており、それを知った上で筆者は購入している。
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妻面
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妻面を見ると貫通扉に着色がなされている。TOMIX製品、KATO製品、WIN製品のそれではこのような処理は施されていない。筆者はGREENMAX製品のキットで101系や103系を組み立てるときに貫通扉への着色は面倒なので行っていないが、これを見習って自分もやってみるかとちょっとだけ思った。
▲ 低屋根の特徴がわかりやすい写真
しかし、せっかく取り付けられている貫通幌はたまに平行四辺形になっているものがあり、どうしてそういう風に変形してしまったのかが気になるところである。ウレタンがきつ過ぎるのか?
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付属品
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この製品には行き先方向幕ならびに運行番号灯のステッカー・シールが付属していないため、長らくのこと無表示のまま放置していた。101系1000番台シーサイドライナーヨコスカを購入したときに、辛うじて中央線で使えそうな「東京」が入っていたため3両はこれを使用した。そのほかはTOMIX製品の余りなどを使用している。
▲ 特快サボをつけました
ところが、「特別快速」と書かれたサボは付属品として入っている。なんとシールではなく頃合の大きさのプラ板に印刷したと思われる代物である。しかも、取り付け用の両面テープまで入っている。せっかくなのでと取り付けてみたのが上記の写真である。ところが、このサボはどうもプラ板が厚いようで、良く見ると不自然である。
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その他
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先頭部のダミーカプラーは不自然な高さに設置されているように見える成型であるため、TOMIX製品のTNカプラー(品番0334)に交換した。
MicroAce製品を購入するのは本製品が初めてだったのだが、車内に吊り革の表現がなされていることには驚いた。パッと見て気付いたときの新鮮さは大変よろしいものであるが、良く見ると「この吊り革ってちょっと大きくな〜い?」なんて思ってしまうのはご愛嬌。
構造上の欠陥と思われるのは、どの先頭車もライトユニットと何かが干渉していることである。そのため、先頭部上部と屋根板に隙間が発生していたり、先頭部の床板が曲がって先頭車の前側だけより腰高になっている現象が発生している。筆者が購入した品だけそうなってしまったのか、TNカプラー取り付けの際に床板を外したら元に戻らなくなったのか、いろいろ憶測は尽きないわけだが、同様の作業を行った同社製101系京浜東北線セット(注意:リニューアル品)ではこのようなことが発生していないため、本製品の欠陥であると考えたいところだ。
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総評
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▲ 便宜上、10両ウレタンに変更した
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これまで述べてきたように、MicroAceが編成物のセットを売り始めたいわゆる初期の頃の製品ということもあって、設計上、構造上、いろいろとエラーが多い。本製品と同時に発売された101系中央・総武緩行線(カナリア)セットも同じエラーであろう。両者ともに筆者はお勧めは控えたい品である。
101系800番台はGREENMAX製品のキットを組み立てることで作成可能だが、その際は低屋根パーツの切り継ぎ作業が待っている。その作業を踏まえ、MicroAce製品を選ぶか、GREENMAX製品を選ぶかは貴方次第。
ところで、数ヵ月後にリニューアル品として101系京浜東北線セットと101系関西線セットが発売されたのだが、先述したエラー箇所の一部が改善された他、同じシリーズとは思えないほどに違う製品となっている。101系京浜東北線セットのレビューも併せてご覧いただきたい。
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参考資料・文献・URI等
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このページを執筆するにあたり、下記の資料を参考にした。
また、気になる文献を発見した。