しらこばと車輌工場

Google

トップREADYMADE  > 青い森鉄道 青い森701系

青い森鉄道 青い森701系

マイクロエース 品番:A4921 青い森鉄道701系 4両セット
青い森鉄道・青い森701系のセット(品番A4921)青い森鉄道・青い森701系のセット(品番A4921)

 2002年末、JR701系とまったく同じ電車が第三セクターの鉄道にも導入された。それが青い森鉄道の青い森701系と、いわて銀河鉄道(IGR)のIGR7000系である。2003年夏、MicroAceより同車が早速製品化され、それぞれ4両セットとして発売された。今回は、青い森鉄道・青い森701系のセット(品番A-4921)のレビューである。

路線紹介

 2002年末の東北新幹線八戸延伸開業にともない、並行する在来線である東北本線はなんと廃止、第三セクターであるいわて銀河鉄道(IGR)と青い森鉄道に転換された。これは、法律改正の結果、新幹線と並行する在来線をJRは運営しなくても良いことになったからだろう。長野新幹線の開業に伴って信越本線の一部がしなの鉄道に転換された事例と同じパターンである。JR東日本としては、「新幹線が出来てしまえば在来線なんぞ赤字の種だからいらない!」と判断したのだろうか。

 だからといって、地元の生活路線をなくすわけにはいかない。ちょっと隣の町まで新幹線を使って移動するだなんて、ありえない話である。そこで、第三セクター鉄道が設立され、盛岡以北の岩手県内の線路(盛岡〜目時)はIGRが、青森県内の線路(目時〜八戸)は青い森鉄道がそれぞれ分割して存続運営されることとなったのであった。

実車について

 実車はJR東日本が1993年に東北地区のローカル線に颯爽と導入した交流専用の通勤型電車701系といわゆる同型車で、IGRの車輌と盛岡〜八戸間、ならびにJR線内への乗り入れを含め、共通運用を行っている。JR701系1000番台そのままの譲渡となった0番台と、JR701系1500番台をベースに青い森鉄道で新造した100番台の2種類に分かれる。前者については特に説明することもないが、後者については、車椅子用の大型トイレを装備しており、バリアフリーに一役買っている仕様となっている。そのため、側面の客窓の数が異なっているのが特徴だ。

 帯の色は、JR所属車が紫、紫+ピンク、赤+緑、朱+緑といった微妙な組み合わせであることに対し、青い森所属車は青一色である。また、IGRはコバルトブルー+山吹色という組み合わせでいたるところに会社ロゴが書かれていることに比べると、いたってシンプルである。

模型概要

 それでは、早速模型を見てみよう。「青い森鉄道・青い森701系のセット」(品番A4921)は、先述したとおり4両セットとなっていて、0番台2両1編成、100番台2両1編成がそれぞれ収録されている。とは言いつつも、2003年夏現在、青い森鉄道に所属しているのは今申し上げた編成のみが在籍していて、このセットを買うことで青い森鉄道に所属する車輌は全て揃ってしまう公算になる。編成図は次の通り。

青い森701-1 青い森701-1 青い森700-1 青い森700-1 青い森701-101 青い森701-101 青い森700-101 青い森700-101
青い森701-1 青い森701-1 青い森700-1 青い森700-1 青い森701-101 青い森701-101 青い森700-101 青い森700-101
青い森
701-1
(Mc)
青い森
700-1
(Tc)
青い森
701-101
(Mc)
動力車
青い森
700-101
(Tc)

 全車にヘッドライト、テールライトを装備しており、床下にはこれらのON/OFFスイッチが付いている。中間連結される先頭車についてはOFFにしておくと良いだろう。動力は青い森701-101に装備されている。例の如く、カプラーはアーノルドカプラーを装備しているが、TOMIX製品のボディマウント式TNカプラーの取り付けが可能な床板であり、台車についてもKATO製品のKATOカプラーNを取りつけることも可能となっている。連結器の交換はユーザーのお好みで行なうべきだろう。さらに、TOMIX製品の室内照明灯の装備もできる構造になっている。他社のオプションパーツの取りつけが可能になっている点が最近のMicroAce製品の特徴であろう。

 ちなみに、同時に発売された、IGRいわて銀河鉄道・IGR7000系セット(品番A-4922)も仕様はほぼ同様である。

模型画像

 下記に、各車両の画像を並べる。なお、個人的な趣向で、先頭部にはTNカプラーを、妻面にKATOカプラーを、車内に白色LED室内灯を取り付けたため、購入時の状態とは一部異なるのでご了承願いたい。上の写真が通電をしていない状態、下の写真が室内灯を点灯させた場合の画像である。

青い森701-1

青い森701-1

 こちらはJRから譲渡された0番台。側面方向幕があるのは青い森701のほうである。シンプルな構造に見えるが、屋上のパンタグラフ周辺には交流電車ならではの賑やかさが垣間見れるほか、側面についてもワンマン運転関連の装置などが見うけられる。

青い森701-1
 
青い森700-1

青い森700-1

 同じくJRからの譲渡車である0番台。青い森701とユニットを組む。側面方向幕が無いこと、トイレが車端部に設置されていることなどがわかる。上記の青い森701と同様に「青い森鉄道」ロゴの印刷がなされているほか、車椅子マークの表示も印刷済み。

青い森700-1
 
青い森701-101

青い森701-101

 続いて青い森鉄道の新造車である100番台。こちらは、0番台とはほとんど一緒である。制御電動車であり、この模型では動力車は青い森701-101に設定されている。そのため、床下が少々ごちゃごちゃした感がある。しかし、手前に見える機器にはグレー、奥に見える機器にはダークグレーと、色の濃淡で奥行きを再現して動力ユニットを目立たなくさせる手法はTOMIXでもKATOでも行なわれておらず、工夫点として評価できる。

青い森701-101
 
青い森700-101

青い森700-101

 0番台と100番台では大型トイレ設置の関係でボディが異なっており、シート部分の床板も含め、わざわざ作り分けての再現がなされている。なお、赤い座席が見うけられるが、これは優先席である。シートのみならず、トイレも用意しているだけに、車内の作り込みはまさに芸が細かいといえる。

青い森700-101
 

評価

 実物を目の前で見たこともなければ乗ったこともないので、細かい箇所についての言及はできないわけだが、模型の構造としては良かった点、悪かった点が見えて来たので、これらについて記す。

プラスポイント

 まずは、いろいろと細かいところまで作りこんであるということ。先述したとおり、ボディの違いを明確にしており、車内のシート成型をした床板も異なるものと用いている。優先席においては色を変えているため、一目でわかる。ボディについては、ステンレスであっても、部位ごとに違う色の銀を用いているため、部品の違いを再現している。

 次に印刷が明細で、綺麗に仕上がっていること。車番、青い森鉄道ロゴ、車椅子表示といった他社ではインレタやステッカーなどでユーザーに任せる手法を用いている例が多い部分を予め印刷してある。ユーザーが行なう作業といえば、行き先方向幕シールを選んで貼り付けることだけなので、細かい作業が苦手な人にとっては良いと思われる。

 そして、「東北地区の列車」。東北地区の車種の製品化はTOMIXやKATOでは例が少ない。ましてや、通勤型電車ということで、目の付け所は良いと思う。701系については、ボックスシートやクロスシートではないロングシートであるため、現地ではあまり評判が良くないと聞くが、少しずつ東北地区の足として定着しつつあることは確かであると考えられる。

 「短い編成」という点。ローカル列車としてのポジションもあり、小さなレイアウト、運転会などでも小回りが利いて大変使いやすい車種といえる。最短2両編成ということは、出すときも片付けの際も作業が早い。

マイナスポイント

 実物写真を見て気付いたことだが、テールライトの大きさが少々違うような気がする。模型のテールランプはちょっと大きめである。

 室内灯を組み込んだところ、TOMIX製品の一般的な車輌と異なり屋根が一枚であるため、遮光が不完全となってしまっている。そのため、暗いところでは、屋根からLEDの灯りが透けて見えてしまうのである。室内灯を組み込む際には、KATO製品の室内灯のように銀色の遮光テープを屋根裏に貼ったり、屋根裏を黒もしくは銀色で塗装しておくことが必要と思われる。

 先頭部床下についてであるが、TOMIX製品のボディマウント式TNカプラー(品番0331)に交換すると、ダミーカプラーを取り外すことになるわけだが、スカートもこのダミーカプラーのボディマウント部分に装着する構造になっている。TOMIX製品のTNカプラーにも同じ要領でスカートを取り付けることになるが、筆者はそれを良く理解していなかったため、上記の写真はスカートを取り外したままの状態になっている。

 なお、連結器についての補足であるが、標準状態ではアーノルドカプラーが装備されている。先頭部用のアーノルドカプラーはダミーカプラーに首振りアーノルドカプラーを取りつけることができるようになっている。しかし、この先頭部用の特殊な構造の首振りアーノルドカプラーは、実際に連結した際に連結面にありえない距離が開いてしまうので個人的にはあまりお勧めできない。また、友人ていく氏が同じくMicroAce製のJR701系(秋田)を保有しているのだが、運転会での走行中に分離という現象が発生したところを目撃。これらを総合すると、首振りカプラーはTOMIX製品のボディマウント式TNカプラー(品番0331)に交換するほうが無難と見られる。

 もうひとつ、先頭部床下について。ヘッドライトとテールライトのON/OFFスイッチは先頭部分台車近くにあるのだが、TOMIX製品のボディマウント式TNカプラー(品番0331)を装着したところ、そのスイッチ部分が隠れてしまう。TNカプラーのボディマウント部分の加工が必要になってしまうが、できることならスイッチはこれと干渉しない場所に設けて欲しかった。とはいいつつも、このヘッドライト・テールライトの機構は、同社MicroAce製101系などとくらべるとかなり小さくなっているのでその点は評価できるのだが。

 以上のように評価できるが、個人的には大変お気に入りの品となったので、購入して大変満足である。MicroAce製品のより一層の技術向上が期待される。付属の行き先方向幕シールはまだ貼り付けをしていないが、これも時期をみて作業を行ないたいところである。また、スカートに関する問題も解決法を考察する方針である。

おまけ

 室内灯を取り付けたところ、暗闇では下記のように見える。白色室内灯はまだ少々価格が高めであるが、蛍光灯の色が再現される上に、低速でも明るく点灯し、消費電力も発熱も電球に比べると少ないのでお勧めの一品である。同製品では、TOMIX製の「室内照明ユニット」に対応しており、電球ノーマルタイプは「室内照明ユニットA」(品番0751)、電球常点灯タイプは「室内照明ユニットA・常点灯CL」(品番0781)、白色LED常点灯タイプは「白色室内照明ユニットC」(品番0785)となっている。用途、目的に合わせての取り付けが良いだろう。なお、単品で買い揃えるよりは、6両分をまとめて買ったほうが割安のようだ。

白色室内灯を取り付けた状態白色室内灯を取り付けた状態

ご注意

 MicroAce製品は、TOMIX製品やKATO製品と比較すると生産量が少ないため、一度売り切れるとなかなか手に入りにくい。購入を検討している方は、お早めに。

 なお、走行時にはレールの接続部分で段違いが生じていないかどうかをよく確認しておく。これは当然のことであるが、MicroAce製品の701系シリーズ(に限った話ではないだろうが)は、段違いのレールにスノープロウが衝突して脱線することがある。車輌の欠陥ではなく、レールを正しく接続していないという人為的なミスにより発生するので、十分注意されたし。

戻る

本ウェブサイトに掲載している文書・画像等の無断転載を禁じます(リンクバナーを除く)。
キットの製作や模型の改造といった作業の実践は自己責任であり、状況によってはメーカー保証対象外になる可能性があります。
本ウェブサイトの利用により、いかなる損害が発生しましても、一切の責任を負いかねますのでご注意ください。

©2002-2008 Copyright by YUHIKO. All rights reserved.