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横浜市交通局1000系(風)

 高校時代のたしか、1997〜1998年頃に作成したもので、ちょっとフリーな感が否めない作品である。パッと見た感じは、横浜市営地下鉄に見えるという一品。そう、あくまでも、パッと見たそのとき限りなのである。何事も、風味が大事である。

路線紹介

 1972年、横浜市に地下鉄が開業した。営団地下鉄のような特殊法人とは異なり、政令指定都市である横浜市交通局が運営する地下鉄である。地下鉄の開業以前の横浜は、市電やトロリーバスが公共交通機関の主役であった。1000系が走る路線は1・3号線となっているが、あざみ野−湘南台間で直通運転がなされており、事実上単独の路線とされている。営団銀座線・丸ノ内線と同じ第三軌条方式、1435mm軌間となっているが、電圧が750Vとなっている点が異なる。

 余談ではあるが、横浜市営地下鉄と言いつつも、終点の湘南台は藤沢市である。都営新宿線の終点が千葉県市川市の本八幡であるところと同様に、実質のところの越境をしている。

実車紹介

 1000系は横浜市営地下鉄で最初に投入された電車である。セミステンレスの車体は18m級で、両開き扉が片側に3箇所設けられている。京成京浜急行などの電車とドアと窓の配置が似ているが、ちょっと違うようだ。正面は左右非対称の窓配置に直線的かつ流線型というデザインが特徴である。1971年に東京の営団千代田線では6000系がデビューしており、その頃の流行したデザインのひとつと思われる。先述した通り、第三軌条方式であるため、トンネル断面が小さく、よって屋根の上には大きな機器が搭載されていない。登場当初は非冷房だったそうだが、現在では全車冷房改造されている。大阪市営地下鉄で実用化された薄型の冷房装置を、横浜市でも本格採用したのではないかと推測できる。

 デビューから30年が経過し、老朽化に伴う廃車が決定したのだが、横浜市はこの1000系を一般の人に無償譲渡する意向を明らかにし、引き取り先を募集している。

模型について

 模型製作までの経緯と、製作の過程については、次の通りである。

先頭車を斜め方向から ◆ 先頭車(1006)

閃き

 製作当時、私の周囲にはどういうわけかヨコハマな人々が何名かいた関係で、関内や石川町近辺の話題や、横浜市営バス横浜ベイスターズといった、横浜の話題が溢れていた。そんな最中に、次は何を作ろうかと思ったところで、横浜市営地下鉄の1000系の側面のドアと窓の配置が、ある会社のある電車に良く似ていると錯覚したことで、製作を決意したのであった。

資料集め

 図書室にて鉄道趣味雑誌のバックナンバーをいくつか見るなどして、1000系についての大まかな特徴を把握して製作に着手した。このとき、実車は見たことも無ければ、乗ったこともなかった。いかに、不十分な資料集めの上に無謀な計画であることがよくわかる。

材料、組み立て

 まず、特徴ある前面は静岡鉄道1000系のマスクを使うことにした。これは、東急7000系キットに入っているおまけである。秩父鉄道2000系弘南鉄道7000系を作ったときに余ったパーツである。そのままではもちろん使えないので、急行灯を削り取り、ヘッドライトを埋めたほか、貫通扉用に中央部分をプラ板で埋め、正面左側の窓を上下方向に拡大した。

 車体は、京成3500系キットを利用した。4両セットを2箱使用している。妻面は、連結した際に矛盾が生じないように組み合わせることが肝要である。なお、1000系は開業当時は3両編成で走っていたこと、1977年に輸送力増強で5両編成となったことなどを踏まえ、3両ないし5両編成の連結も可能な組み合わせで妻面をそろえる。客窓は、一段降下式であるため、キットにあるサッシの一部は削る。

 屋根板にある彫刻は全て削り取る。次いで、写真で見たように、厚さが1mmのプラ板を適当に切って組み合わせる。クーラーにあたる部分と、モニタにあたる部分の違いは、全て写真を見て勘で大きさを決めることにした。よって、かなりデタラメである。

 床下についてはまったく未知の世界である。そんなわけで、編成図を参考に、京成3500系用の床下機器をそのまま取り付ける。また、台車についても同様に調べていなかったので、“線路幅が同じ神奈川県の私鉄”という全く以って根拠のないの理由で、THタイプを選択。

塗装

 側面のドアは青色に塗装されている。文献によれば、この青は「コバルトブルー」であるので、まったく同じ名前を持つMr.COLORのコバルトブルーのスプレーをそのまま使用した。これといって違和感がないと思われるので、色の選択は問題はなさそうだ。しかし、食いつきが悪く、たった6両編成なのにスプレーを2缶も使用したことはあまり経済的ではなかった。

 その他、ステンレスにはGM鉄道カラーの銀、屋根上はクーラーなども含めて全てダークグレー、床下は灰色という組み合わせとしている。

その他

 車番がわからないため、それらしい車番のステッカーないしデカールを貼り付ける作業は見送っている。また、横浜市のマークや行き先方向幕も用意がないため、取り付けてはいない。さらに、前面の特徴のひとつと言っても過言ではない丸目ヘッドライトとテールライトには穴はあけてあるものの、レンズを装着していないため、少々不恰好になっている。そして、屋根のカーブは実車がほぼ直線であることを踏まえると、少々異なる。これらの点は将来的に改良する必要がありそうだ。

編成図と作品画像(側面中心)

 編成図はおそらく次の通り。

1006 1006 1005 1005 1004 1004 1003 1003 1002 1002 1001 1001
1006 1006 1005 1005 1004 1004 1003 1003 1002 1002 1001 1001
1006
(Tc)
1005
(M)
1004
(M)
1003
(T)
1002
(M)
1001
(Mc)
← あざみ野・新横浜 戸塚・湘南台 →

各車の画像はこんな感じ。

 ◆ 1006(Tc)
あざみ野側を向いている先頭車のつもり。
 ◆ 1005(M)
模型では各時代の運用を考慮して、この車両に動力を備えている。
 ◆ 1004(M)
床下機器の向きなどは少しは考慮したほうがいいかもしれない。
 ◆ 1003(T)
5両編成時代を再現する場合には連結しないかも。
 ◆ 1002(M)
3両編成時代を再現する場合には連結しないかも。
 ◆ 1001(Mc)
湘南台側を向いている先頭車のつもり。

 ここまでご覧になっていただいてお分かりのように、細かい箇所をかなり省略している。またの機会に作るとすれば、実車を良く調べることが肝要であろう。特に、客窓の数が京成3500系のままであり、実車と明らかに異なるわけで。

その後

 製作当時所属していた部活動では、マニアックな電車として注目を浴びる作品であった。横浜市民のみなさんには思わずニヤリのようでなにより。同車は地下鉄であるが、架線柱のない近代的な高架線が似合う。

 後日、横浜にある市電保存館へわざわざ持って行き、Nゲージレイアウトで走行させてみた。係員のおじさんが変な顔をしたことと、近くを通りかかった小学生が「あっ!横浜市営だ!」と口にしたことが記憶に残っている。

編成全体 ◆ 編成全体。

 2002年のJAMに行った際、私と同じく1000系を作成して展示している個人出展者の方に遭遇した。その方の場合、側面は京成3500系を利用していることは同じであるが、正面マスクを営団8000系あたりから、屋根上のモニタ類を阪急通勤車から流用したそうである。確かにそっちのほうが実感的かもしれない。もちろん、その出展者は客窓の数は実車と同じように調整してあるので、ますます実感的である。

 なお、私が実際に1000系を目の前で見て、しかも乗車したのは、2002年の9月のことであった。渋谷より田園都市線であざみ野へ行き、そこから新横浜まで横浜市営地下鉄に乗車したときのことであった。自分の作品が如何に実物を無視して成り立っているかがよくわかった。

資料など

 模型製作時にはまともに資料を参照しなかったわけだが、これから同車を製作する方には下記サイトがおすすめである。

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