しらこばと車輌工場

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新京成電鉄8000系(風味)

 初めて作ったペーパー&プラ板でのスクラッチ作品である。かなり酷い作品なので、その点はご容赦していただきたい。この製作記には、ためになる記述はほとんどないと思われる……。

実物に関して

路線情報

 新京成電鉄は、千葉県内の松戸−京成津田沼間を走る準大手私鉄である。もとは太平洋戦争中、陸軍が鉄道敷設訓練用に作ったもの。少しでも長い距離を稼ぐことができるように、大半をカーブで敷設したため、その名残が今でも残っている。戦争が終わった後、民間に転用されることになったが、買収に名乗り出たのが京成グループと西武グループだったが、西武グループが手を引いたため、京成グループの一員の新京成電鉄となり、現在に至る。

 かねてから新京成沿線は宅地開発が行われたこともあり、住宅街(特に団地)が発展し、大手スーパー・大型ショッピングセンターが進出するなど、東京近郊のベッドタウンの一つとなっている。そのため、新京成線は完全に通勤通学路線であるといえる。一時は北総開発鉄道(現・北総鉄道)と乗り入れを行っていたこともあった。松戸ではJR常磐線、八柱ではJR武蔵野線(新八柱駅)、新鎌ヶ谷では北総鉄道東武鉄道野田線、新津田沼ではJR総武線(津田沼駅)、京成津田沼で京成電鉄本線と乗り換えが可能である。乗客の流れは同時に両方向のターミナルへ向かい、そして帰宅の途に着く乗客はその反対方向になるので、どちらの方向に列車を走らせても乗車率が高く輸送効率の良い路線なのが特徴である。なお、京成津田沼からは京成本線・千葉線へ新京成側の列車が6両編成で乗り入れる予定で、現在はその準備が進められている。

実車情報

 800系に次ぐ同社の新製車である。電気ブレーキ、両開き扉、冷房装置の搭載など、製造当時同社における新機軸を盛りこんだ車輌となっている。デビュー当時はクリームとレッドの塗り分けであったが、現在はリバイバルの記念編成を除いてクリーム地に明るいブラウンの帯という塗り分けになっている。正面は2枚ガラスで、窓周りが茶色に塗られている。これがなんとなく狸に似ていることから、8000系のニックネームは「たぬき」だとか。

新京成8000系
▲八柱−常盤平間で撮影(2002/9/11)。

製作記事

 今回は、8000系6両編成をペーパーとプラ板を主体にして作成する方法としている。

材料

 方眼が印刷されている工作用紙、プラ板、GREENMAXのパーツ(18m車の床板および床下機器、パンタグラフ、クーラー、アンテナ2種類、貫通幌、台車、窓ガラス用塩ビ板)。そしてGM鉄道カラー。

 なお、先頭のアンテナは手持ちの東急用の余ったアンテナを使用。先頭車後部の京急アンテナはMakoto氏から譲ってもらった。プラ板はヤマシロヤにて入手。工作用紙は自宅にあった余りもの。GMのパーツは今は無きGMストア田端店にて購入。

側面作成

 他の18m車のボディを参考に、工作用紙に図面を書き、カッター(当時は何故か美術用ナイフとハサミを用いた)で切りぬく。側面全体のほか、ドア部分、窓部分は完全に切りぬき、ドアと窓のサッシはそれぞれ別の場所から切り抜いたものを裏から重ね貼りした。これらの作業はかなり地道なものであり、各社片面に扉が3箇所あるのだから、3箇所×2面×6両=36箇所ということでドアだけでも36箇所分を作るわけだから面倒であった。いずれも、貼り付けには紙用の糊(アラビックヤマト)を使用。

 紙を貼り合わせても強度に心配があったし、床板を引っ掛ける部分が必要であったことから、裏側にはプラ板を切って貼りつけた。

先頭部と妻面作成

 先頭部分はプラ板で作成した。実物に似せているつもりで切りぬきなどをしていったが、あまり似ていない。妻面には貫通幌を取りつけてみた。

屋根部作成

 屋根もプラ板で作成。クーラーとパンタグラフを取りつけるための穴を開けておいた。

塗装

 上記のパーツを組み立てて、箱状にしたあと塗装をする。クリーム色は西武ベージュで代用。車体全体にスプレーで吹き付けた。あまり発色が良くなく、下地である方眼が透けて見える状態になっていた。そんなわけで、数回に分けて少しずつ吹き付け作業を行う。

 クリーム色の塗装が終わったところで、マスキングをし、ブラウンの帯を塗装する。今回は、ぶどう色2号を用いた。少々暗い色になってしまった。もしかしたら、近鉄マルーンか阪急マルーンのほうが良かったかもしれない。

 屋根はねずみ色で塗装。特に問題はないとみられた。

各種パーツ取り付け

 塗装が終わったあと、窓ガラスの取り付け作業を済ませ、屋根にはアンテナ、クーラー、パンタグラフを取り付ける。また床板には台車を取り付け、車体にはめ込む。

完成…?

 作っているうちにうすうすは気付いていたのだが、オーバースケールをしている。中途半端な軽さ、取れやすいパンタグラフ、歪みと塗装ムラのある車体……。なんだか廃車直前の電車という印象になってしまった。実物は整備の行き届いていており、どの車輌もピカピカなのだが……。新京成電鉄のイメージとは大きくかけ離れた姿となってしまった。

先頭車

先頭車

 工作用紙の厚みをみると、客用扉がまるで荷物電車の扉みたいに見える。塗装の乗りが大変悪いが、塗装前にサーフェイサーを吹き付けておけば少しはマシになったと考えられる。製作当時、筆者はそのような知識を持ち合わせていなかった。

編成全体

全景

 客用扉と窓は1/150で作ってあるのだが、ボディは縦・横・高さ、すべてにおいて数ミリほど大きく作っていることがわかる。恐らく、組み立てた時にヤスリで削って調整することを想定していたはずなのだが、作っているうちにそのことを忘れてしまったようだ。

 あんまりにも公開し難い仕上がりなので、写真は2枚だけにしておく。まぁ、鉄道模型の工作を始めたばかりの高校生の頃の作品なので、なんともいえないのであるが。遠目で見れば新京成っぽく見えるかもしれない。ここに来て言うのもなんであるが、新京成8000系を作る場合には「阪神通勤車」を改造して作るべきだったと思われる。また、ペーパーで組み立てたあとはサーフェイサーを吹いてから塗装を行うべきであった。

 友人に作品を見せたがみんな苦笑いであった。ある友人からは、「病気の新京成」と批評された。ペーパースクラッチは奥が深いようで。

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