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実車解説
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事業用の電車であるため、営業運転で旅客を乗せることはない。一般利用客からは貨物列車と並んで縁の無い電車である。143系は1977年に、首都圏各線のATC化に伴い牽引用電車として製造され、それまでの牽引車と異なり新車というポジションを獲得。工場などへの回送電車の牽引に使用されるほか、マヤ検のお供になったり、万が一の際の救援道具を積んでいたりと、その活躍は地味ながら無くてはならない存在なのである。
国鉄時代に0番台は21両が製造され、JR化後も継承されている。クモニ143形から改造されたクモヤ143形は50番台として区分されている。なお、事業用電車の基本的な設計であるため、145系などでよく似たスタイルを見ることができる。首都圏の電車区・車輌センターにはだいたい1両いるので、探してみると面白いかもしれない。
撮影日:2005/10/25 JR武蔵野線にて |
上記写真は京葉線の201系900番台が廃車回送されたときのもの。この日は牽引車としての役回りで、先頭と一番後ろに幕張電車区所属のクモヤ143形が連結されている。
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キットの謎
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キットそのものは、GREENMAXから発売された塗装済みキットである。昔は未塗装キットだったのだが、買おうと思った高校時代には塗装済み2両トータルキットとなり手が出せずじまい。社会人になってから懐に若干の余裕が出て、MicroAce製マヤ34-2002購入時に再び購買意欲が沸いてきたのだが、市場には既にあらずという状態。
ところが、2004年のJAMのGREENMAXブースになぜか単品でキットが販売されていたのでようやく購入したという次第である。必要最低限の説明書が入っているだけで、専用ステッカーは入っておらず、「作りたいヤツは勝手に作れ」といわんばかりの構成であった。GREENMAXの再生産スケジュールには謎が多い。
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製作記事
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ボディは屋根のダークグレーと車体の濃紺は塗装済みである。前面警戒色の黄色い部分は別パーツではめ込む仕組みとなっていて、車体そのものについては塗装作業の必要がない。各自塗装をしなくてはならないのは、床下機器、屋上機器、スカート、テールライトなどである。床下機器は、黒色成型であるが、床板は無塗装なので黒色に塗装したほうが良いだろう。屋上機器パーツも灰色に、後で取り付けるスカートも黒で塗装する。
窓ガラスパーツははめ込み式であるが、格子ガラスパーツは別である。説明書にあるように格子ガラス模様の塩ビ適宜切り取り、はめ込みガラスパーツの裏側に接着する。
一見、初心者にも優しいキットなのかと思ったのだが、そうでもないようである。屋上機器パーツは接着面積が少ないので外れないように注意する。プラ棒などで脚をつくり、接着面積を僅かながら拡大して粘着力を増やす工夫があるとよいだろう。
ボディマウント式TNカプラーを装着する場合、床板にある取り付け部にそのまま取り付けてはならない。これは床板が車体より短いためで、床板最前部の突起に、TNカプラーの後部の穴をはめ込むというアンバランスなことを強いられる。
スカートはすべての工程が終わったあとに、ゴム系接着剤でボディに取り付けるらしいが、これで正しいのかどうかが謎である。カプラーとの干渉を考慮してスカートをボディに取り付けると、床板が外せなくなる。筆者は車番インレタの貼り付けやクリアの吹きつけをする前に床板はめ込み及びスカートの接着を行ってしまった。何らかのメンテナンスを行うときは、春日三球・照代の「地下鉄はどうやって入れるの?」という漫才ネタ並に悩む可能性がある。
なお、動力ユニットを組み込む場合は、はめ込み窓パーツの一部を必要に応じて削ることになっている。筆者は今回2両作成したが、2両とも無動力としている。
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模型画像
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紆余曲折あったが、肝心のインレタと方向幕ステッカー(いずれも未入手)の貼り付けと、クリアの吹き付けを除いて作業は完了している。
全景。前はTNカプラー、後はアーノルトカプラーにした。
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▲正面。方向幕は田宮の白マーカーで塗ってある。
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▲MicroAce製マヤ34-2002と連結してみた。マヤのほうが車高が低い。
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参考文献
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このキットおよびページを作成するにあたり、下記の資料を参考にした。