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トップHANDMADE  > JR武蔵野線 103系E28編成

JR東日本 103系 武蔵野線
八王子支社豊田電車区(八トタ)所属E28番編成

 205系5000番台への置き換えが完了し、103系が走っていた時代も記憶の彼方へ過ぎ去ってしまった。ここでは、非ユニットサッシの車輌だけで編成されたE28編成の最後の勇姿を模型として残すことにする。

全車
▲ 改造とはいえ思いのほか時間がかかった。

路線紹介

 南武線・府中本町駅を起点とし、埼玉県南部主要都市内を横断、千葉県内に突入し総武線・西船橋に至る営業キロが71.8kmの外郭環状路線。1973(昭和48)年に開通し、当時の国鉄の最新技術を結集して建設された路線である。「山手線に貨物列車を走らせない」ことを目的として貨物線として計画された。沿線住民からの要望もあり、101系1000番台(武蔵野線特別仕様車)による旅客列車を運行することになった。首都圏北部へ伸びる主要幹線との乗換駅が多数存在していることから沿線はベッドタウン化が進んでいる。年々旅客輸送量も増加の一途を辿り、現在では立派な通勤路線に成長した。「山手線に乗らずに通勤できる」という利点が生かされ、首都圏の貨物と人の流れを変えたことは評価に値するであろう。物流の変化で貨物列車が減ったといわれる現在でも、相変わらず旅客列車と貨物列車は交互に走っているのが特徴である。

 京葉線開通後は西船橋から東京方面および海浜幕張方面へ乗り入れを行っており、幕張メッセ、ららぽーと、東京ディズニーリゾートなどへのアクセスも充実している。また、武蔵野線沿線にはなぜか公営ギャンブル施設が多数存在していることでも有名である。そんなわけで、休日は様々な夢を抱いた乗客で賑わっており、「むさしのドリーム」は大げさなネーミングではなさそうだ。

実物車輌情報

 武蔵野線では、103系と205系が主力車輌として運用されている。基本的には八王子支社豊田電車区に所属している編成がこれに充当されている(注:2004年3月より全車千葉支社京葉電車区に移管。同4月京葉車両センターに名称変更)。いずれの編成も、動力車と付随車の比率が6M2Tの強力なもので、トンネル区間が多いことなどから地下鉄仕様に近い。1990年頃から、205系の導入に伴い8両編成化が進み、現在では全列車が8両編成で運転されている。今後は、山手線や総武線で余剰となった205系の編成が5000番台となって入線してくる見こみで、103系が淘汰される日も近い。しかしながら、常磐線や京葉線ほど凄まじい早さで103系が消える様相は見うけられないのが実情だ。

 プロトタイプのE28番編成は、東京寄り先頭車がMc車になっている編成で、全車が非ユニットサッシかつ更新車となっている2002〜2003年頃の姿としている。1990年代まではこのようなクモハ(Mc車)入りの編成が当たり前だったのだが、他の線区で余剰となった高運転台車が含まれた編成が増えるにつれて、減少していった。E28編成は武蔵野線のMc入りの編成としては最後まで残ったが、2004年10月27日に最終運用となり翌月4日に大宮へ廃車回送されている。

E28編成実車写真
▲ クモハ103-126側の写真。2002年10月、南船橋で撮影。

E28編成実車写真
▲ クハ103-626側の写真。2002年10月、西船橋で撮影。

※廃車回送直前は6〜7号車のモハユニットはE7編成に組み込まれていた元E20編成のモハユニットに組み換えられているというややこしいことになっていた模様である。

編成図

1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車
クモハ103 クモハ103 モハ102 モハ102 サハ103 サハ103 モハ103 モハ103 モハ102 モハ102 モハ103 モハ103 モハ102 モハ102 クハ103 クハ103
クモハ103 クモハ103 モハ102 モハ102 サハ103 サハ103 モハ103 モハ103 モハ102 モハ102 モハ103 モハ103 モハ102 モハ102 クハ103 クハ103
クモハ
103-126
(Mc)
モハ
102-272
(M)
サハ
103-187
(T)
モハ
103-172
(M)
モハ
102-327
(M)
動力車
モハ
103-150
(M)
モハ
102-283
(M)
クハ
103-626
(Tc)
← 東京・西船橋 東所沢・府中本町 →

材料

だいたい揃ってます。種車がWIN製品なので決して安くない。

  • 103系基本キット4両セット(WIN) ×1セット
  • 101/103系中間車キット2両セット(WIN) ×1セット
  • eシリーズ・モハ103(WIN) ×1両
  • eシリーズ・モハ102(WIN) ×1両
  • インバータクーラーセット(GREENMAX) ×1セット
  • AU75Gクーラー(GREENMAX) ×1セット
  • eシリーズ・床下モハ用(WIN) ×3両分→TOMIX製103系の下回りに変更
  • eシリーズ・床下サハ用(WIN) ×2両分→TOMIX製103系の下回りに変更
  • モハ102用動力ユニット(TOMIX) ×1
  • PS16パンタグラフ(TOMIX) ×3機
  • 密連形TNカプラー・ボディマウント伸縮式(TOMIX)
  • 形式名、所属区名、JRマークなどのインレタ(WIN製/GREENMAX製/TOMIX製)
  • 101系キットに付属のシールドビームランナー(GREENMAX製) ×2個
  • KATOカプラー(KATO製)→密連形TNカプラー・カプラーポケット用(TOMIX)

模型写真と各車概要

 下記はE28を編成する各車の写真と、その資料情報は以下の通り。見た目の大まかな特徴としては、1、2、3号車はAU712(分散型インバータクーラー)を搭載していて、残りの5両はAU75を搭載しているという点であろう。基本的には、8両すべてをWIN製品を小改造することで完成させた。

ケースに入れた感じ。 号車番号
形式・製造番号
冷房装置
特  徴
経  歴
処  置
クモハ103-126 1号車
クモハ103-126
AU712
低運転台、シールドビーム改、運行番号窓埋め、非ユニットサッシ、更新車
元 浦和電車区
WIN 103系基本キットより改造。AU712クーラーはGMのインバータークーラーセットに入っているものを利用。運行番号窓は不要ランナーを削って挿入し、接着剤で埋めた。加工が不十分であるため平らではない。
モハ102-272 2号車
モハ102-272
AU712(SIVなし)
非ユニットサッシ、更新車
元 浦和電車区
WIN 103系基本キットより改造。AU712クーラーはGMのインバータークーラーセットに入っているものを利用。
サハ103-187 3号車
サハ103-187
AU712(SIVなし)
非ユニットサッシ、更新車
元 松戸電車区
WIN 103系基本キットより改造。AU712クーラーはGMのインバータークーラーセットに入っているものを利用。側面方向幕シールを貼り付けてしまったが、実物には設置されていないのでエラーである。
モハ103-172 4号車
モハ103-172
AU75G
非ユニットサッシ、更新車
元 松戸電車区
WIN 101/103系中間車キットより改造。AU75クーラーはGMの103系用改造パーツセットに入っているものを利用。
モハ102-327 5号車
モハ102-327
AU75G
非ユニットサッシ、更新車
元 松戸電車区
WIN 101/103系中間車キットより改造。AU75クーラーはGMの103系用改造パーツセットに入っているものを利用。
モハ103-150 6号車
モハ103-150
AU75G
非ユニットサッシ、更新車
元 浦和電車区
WIN eシリーズ/モハ103利用。クーラーは製品で装備済みであったが、明るいグレーに塗装しておいた。
モハ102-283 7号車
モハ102-283
AU75G
非ユニットサッシ、更新車
元 浦和電車区
WIN eシリーズ/モハ102利用。クーラーは製品で装備済みであったが、明るいグレーに塗装しておいた。
クハ103-626 8号車
クハ103-626
AU75G
低運転台、シールドビーム改、非ユニットサッシ、更新車
元 松戸電車区
WIN 103系基本キットより改造。AU75クーラーはGMの103系用改造パーツセットに入っているものを利用。

 WIN製品はボディのみ塗装済みであったため、屋根および屋上機器の塗装を行うことにした。屋根は「(35)ダークグレー」、ベンチレーターは「(14)灰色9号」でそれぞれGMカラーで塗装している。避雷器、ヒューズ箱は塗装せず成型そのままのグレーとしている。クーラーは実車はグレーであるが、模型はアクセサリー感覚で取り付けたこともあって「(8)銀色」で塗装した。なお、6、7号車に限っては「(14)灰色9号」を塗装した。

 材質が違う関係でランボードが外れるなどのトラブルに見舞われた。ゴム系接着剤を使うべきだったかもしれない。特定ナンバーということもあって、インレタから番号を一桁ずつ拾っていったわけだが、どういうわけか「2」と「7」が多かったような気がする。あとになって気付いたのだが、eシリーズで最初から装備されているAU75型クーラーと、GMパーツのAU75型クーラーは微妙に違うようだ。

 方向幕シールは寄せ集めである。正面の行き先方向幕と運行番号はTOMIXの103系セットに入っているもので、正直あんまり実物と似ていない。側面方向幕用のシールはKATO製205系武蔵野線色(90年代製造の旧ロット)の余りを使用している。手持ちにペンギンモデル製の武蔵野線方向幕シールがあったはずなのだが、みつからないためこのような措置となった。

 全車にTNカプラーを装備しており、連結面の間隔は狭いものになっている。GREENMAXの貫通幌パーツを取り付けたほうがもっと実感的かもしれない。

その他。

 今回、足回りを全車TOMIX製に変更した。GM編成の中間に増結しているTOMIX製品やブンカオリジナル製品などからトレードしてみた。なぜそんなことをしてまで足回りをそろえたかというと・・・。

クモハ103-126
▲ 日中の雰囲気。
クモハ103-126
▲ 夜間の雰囲気。

 気合を入れて、全車に白色室内灯を装備。これで、自分が仕事帰り(学生時代なら帰りの終電とかね)によく見かけるような光景を再現できるようになった。これで田んぼの中の盛り土だろうと、長大トンネル区間だろうと、湾岸の高速道路の脇だろうと爆走する気力は満タンである。

夜はこんな感じですね。
▲ 写真の室内灯は演出ではありません。

 車内は田宮製のペイントマーカーを使ってオレンジとイエローに塗り分け、更新車ならではの床を再現。シートは単なる青にしてしまったが、まあよしとする。このため、室内灯を点灯させたことにより車内が窓から見えても、実車に近い雰囲気を見せることができていると確信している。ただ、床板に彩色したことで白色の室内灯がなぜか電球色に見えるという現象も確認されている。

 できればヘッドライト、テールライトの点灯もさせたいところだが、その辺についてはそのうち考えるとする。何年か前に購入したっきり使用していないマッハ模型製の発光テルライトを使うか、TOMIX製103系のライトユニットをうまいこと移植させるかの何れかになるだろう。

 どちらにしても、種車がWIN製品であったり、TNカプラー白色LEDの室内照明ユニットを装備させたり、AU712クーラーやAU75クーラーをつけたりと、やたらお金がかかった作品となってしまった。間違いない。

 この編成を2005年4月に開催された運転会で走行させたところ、動力車が空転して走行不能に陥ることが判明した。全車に室内灯を装備したため、他のトレーラー車の重量や走行抵抗が増したこと、動力車の重量が足りないことなどが原因として考えられる。動力車にはさらにウエイトを積み込む必要があるようである。

 このあとMicroAceから所属電車区こそ違うものの同じE28編成が模型化されるという事態が発生した。筆者は漏れなくMicroAce製品も購入し、手元には時代設定が近いE28編成の模型が2本存在している。

参考資料・文献・URI等

 この編成を作成するにあたり、下記の資料を参考にした。

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