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実車について
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このページではクモハ11、クモハ12、クハ16、クハニ19といった車体の長さが17m級の旧型国電のグループについて触れている。これらはもともと旧30系や旧50系と呼ばれる大正時代から昭和初期にかけて鉄道省(のちの国鉄)が製造した電車の複数のグループによって成り立っている。しかし何度かの改番、そして改造や編入などが行われているため、各車の経歴は複雑である。例えば、一言にクモハ11と言っても、元の形式によって番台区分がなされているためスタイルが異なる。何番が何番に改番されたのかは新旧対照表を見て確認する必要がある。
仙石線は旧型国電が配備された最北の地である。国鉄に買収された後もしばらくは宮城電気鉄道のオリジナル車を使用していたものの、後に首都圏を退いた17m級の電車が転属してきている。塗装は首都圏で使われていたぶどう色のままのものや、気動車色に塗り替えられたもののいずれかが存在していた。中には、ぶどう色と気動車色の電車が連結されて使用されていたこともあったようだ。
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路線紹介
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仙石線は宮城県仙台市のあおば通駅・仙台駅から松島海岸駅や本塩釜駅を経て石巻市の石巻駅までを結ぶ路線である。宮城県内のJR線では唯一の直流電化区間となっている。もともと宮城電気鉄道として建設され、後に国鉄に買収された名残である。そのため、他のJR各線からは独立しており、独特の運営がなされている。一部区間ではルートの変更、踏切渋滞解消のための高架化や地下化、駅や電車区の移転などの改良が行われた。
もともと運転本数が多く、快速運転も行われているため、仙台への通勤・通学には便利な路線となっているようだ。さらに、沿線には絶景の観光地である松島があり、東北本線と並走していながら仙石線のほうが松島に近い側を通ることもあって観光路線としての一面もある。
特に興味深いのが仙台駅の所在地である。宮城電鉄時代の仙台駅は当時としては珍しい地下駅で建設された。後に移転して地上駅となり、そして現在はまた地下駅になった。地下化に合わせてあおば通駅まで延伸されている。位置関係としては、仙石線の仙台駅はJR各線の仙台駅東口側に、あおば通駅はJR各線の仙台駅西口側にあり、仙石線には実質的に仙台駅が2つあることになる。将来的には仙台市営地下鉄東西線に乗り入れる構想があるようだ。
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作成目標
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17m級の旧型国電が仙石線で活躍していたのは昭和40年代までで、その後は20m級の電車に置き換えられている。よって文献やネットで当時の仕様を調べてみるものの、73系などに比べると資料となるカラー写真は少ない。ここはやはり割り切って「こんな感じで存在していたかもしれない」といったニュアンスでまとめることにした。鉄コレのクモハ12002に揃えるため、作成する3両は同じようにクリーム色と朱色のツートンカラー、いわゆる気動車色にしてまとめる。
クモハ12002のトレーラー化はもちろん、鉄コレ第4弾のケースに含まれている未塗装のクモハ11(弘南鉄道モハ1121か?)の塗装および動力化、GREENMAX製品の「クモハ11400+クハ16400 2両セット」の組み立てならびに塗装といった作業をメインとする。
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材料一覧
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作成にあたり、下記の材料を使用した。なお、区名表記のインレタは省略した。
- GREENMAX
- 品番306/国鉄クモハ11-400+クハ16-400 2輛セット×1セット
- 品番5006/台車:DT10×2両分
- 品番80-2/パンタグラフ:PS13×1セット(2基)
- 品番63-3/車輛マーク:11・73系/事業用車輛×1枚
- 品番SP-05/鉄道カラースプレー・クリーム色1号
- 品番SP-31/鉄道カラースプレー・朱色4号
- 品番SPL-35またはSP-35/鉄道カラースプレー・ダークグレー
- 品番SPL-09またはSP-09/鉄道カラースプレー・ねずみ色1号
- 品番SPL-10またはSP-10/鉄道カラースプレー・黒
- 品番SPL-40またはSP-40/鉄道カラースプレー・クリアーコート(光沢)
- TOMIX
- TOMYTEC
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編成図
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4両編成が組めるようにすることにした。ただ、実際に下記のように編成を組んでいたかどうかは確認していないので、予めご了承いただきたい。
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各車詳細
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4両編成だが1両ずつ仕様が異なるので、詳しくはこの節でご紹介する。通風器の数やトイレの有無など、細かいことは気にしないことにした。
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クモハ12形(クモハ12002)
鉄道コレクション第4弾のシークレットとして設定されたクモハ12002である。塗り分けの位置に誤りがあるようなので、気になる人は塗りなおしたほうが良さそうだ。TOMIX製のPS13形パンタグラフを載せ、トレーラー化パーツを使って走行可能な状態にしてある。念のため、先頭部にはTNカプラーを加工の上で取り付けてみた。他の車両との連結を考慮したものだが、車両の向きを確認していないため、意味があるかどうかはわからない。また、パンタグラフ側の前面に「本塩釜⇔仙台」というサボのステッカーを貼ってある。製品は雨どいの上面がクリーム色だったのだが、他車と揃えるためタッチアップで朱色にしている。その際、タミヤ製ペイントマーカーX-6(オレンジ)を使ってみたところ、あまり違和感が無かった。
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クモハ11形(クモハ11458)
鉄道コレクション第4弾のコレクションケースを買うと漏れなく付いてくる未塗装車を単純に気動車色に塗装したもの。弘南鉄道のモハ1121の未塗装版かと思ったら細部が違うように見えるが真意のほどはいかに。
パンタグラフはTOMIX製のPS13に交換した。また、動力ユニットはこの車両に入れた。屋根は後述のGM車と一緒にダークグレーで塗装しているが、ベンチレーターは製品のまま塗装していない。ナンバーは適当にクモハ11458としたが、インレタの転写に失敗している。
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クハニ19形(クハニ19053)
GREENMAXのクハ16400キットを組み立てたものである。仙石線には荷物輸送のためクハ16を改造したクハニ19が在籍していたが、見た目はクハ16となんら変わらないようなので、ナンバーのインレタをクハニ19にした。クハニ19053はトイレが設置されなかったのでほぼ素組みで問題ないとみられる。ヘッドライトはお好みで埋込式(弾丸形)にしてみた。理由は取付式に比べて接着面積が広いので工作作業をするうえでは安定しているためである。さらに、模型上の設定では中間封じ込めにするので貫通幌も取り付けてみた次第である。
指定された純正の台車(DT10)を取り付けたのに、カプラー受けが車体の裾部分と干渉するため、車体の裏側を若干削る必要がある。また、このキットの床板は独特な形状をしており、どうやら連結面側の台車がきつく首振りが厳しい。運転会で走行させたところカーブを出た先にすぐポイントがある場合、脱線することがある。
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クモハ11形(クモハ11442)
GREENMAXのクハ11400キットを組み立てたものである。説明書通りの素組みである。ナンバーはクモハ11442とした。先ほどのクモハ12002と同様、パンタグラフ側の前面に「本塩釜⇔仙台」というサボのステッカーを貼ってある。
クハニ19の欄で先述したとおり、指定台車(DT10)を取り付けても、カプラー受けが車体の裾と干渉するので、車体の裏側を若干削る必要がある。また、連結面側の台車がきつく首振りが厳しい。線路形状など、運転する環境に注意されたい。
本車は先頭部にダミーカプラーを取り付けたが、説明書の通りに前面下部にある空間にダミーカプラーを通して胴受けに接着すると、メンテナンスのために床板を外すことになった場合、ダミーカプラー部分は車体から外せなくなり、非常にややこしいことになる。ダミーカプラーと胴受けは車体側に接着したほうが良いのかもしれない。
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最後に
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第6回JR船岡運転所総会(公開運転会)にて
先述したとおり、この編成は鉄コレ側の車両は良好に走るのだが、GM側の車両は台車の首振りが不調なため、ポイントで時々脱線してしまう。運転会でお披露目した際にはそのような現象が起きてしまい少々残念であった。台車取り付け穴を棒ヤスリで僅かに拡大すると良さそうだ。
ブックケースに収納
17m級の旧型国電が気動車色で仙石線を走っていたのは昭和40年代までなので知らない人も多く、少々地味な存在となってしまったかもしれない。しかしながら、電車なのに気動車の一般色という塗装は独特の雰囲気を醸し出しており、見る人によっては新鮮なようで、結果オーライといったところだろうか。
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参考文献・参考サイト
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作成にあたり、下記の文献を参考資料とした。