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秩父鉄道 2000形電車(第2回)
2004F編成

 同じ種車で言えば3回目にあたる作品。前回のリベンジを踏まえて作成することにした。なお、重複する記事が含まれているのでご注意を。ちなみに作成当時、フジテレビで「ザッツお台場エンターテイメント」という番組が放送されていた記憶がある。

実車情報

 製作当時は良かったのだが、現在では実車が廃車されて存在しないため、手元の古い資料のみで解説する。

路線紹介

 秩父鉄道は、埼玉県内に鉄道路線を持つ明治32年設立の民間鉄道会社(私鉄)である。羽生〜熊谷〜三峰口間の71.7キロの秩父本線のほか、武川〜熊谷貨物ターミナル間の貨物線7.6キロも保有している。駅数は全部で38駅である。中小私鉄でありながら、旅客輸送と貨物輸送を共に扱っている。旅客輸送は国鉄や都営地下鉄から払い下げ車によって行われている。かつては自社発注の電車が用いられていた。貨物輸送では石灰石やセメントなどを長編成の貨物列車で運行している。また、蒸気機関車「パレオエクスプレス」の運行はSLファン、鉄道ファンでなくても魅力ある列車となっている。埼玉県北部の景勝地「長瀞」「秩父」を沿線に控えており、観光事業にも積極的である。花見やハイキングなどの季節イベントを企画したり、荒川上流での長瀞ラインくだりや宝登山ロープウェイの運行にも携わるなど、多彩な顔を持つ鉄道会社である。他社からの乗り入れは現在では西武鉄道からの列車のみであるが、かつては東武鉄道東上線や国鉄からも臨時列車の乗り入れが行われていた。

■関連本をさがす:『秩父鉄道の100年―保存版』、『秩父鉄道新風土記

解説

秩父鉄道2000系
1997年2月頃撮影/羽生駅

 500形電車の置き換え用として、1991年に東京急行電鉄(以下、東急)から購入した電車である。入線に当たっての改造は貫通路の扉取りつけと、列車無線機の取り替え、帯の色をスカイブルーに変える程度。東急時代と同様の4両編成で運用された。しかし、1999年、秩父鉄道の日中ワンマン運転化に伴い、4両編成ではワンマン運転に不向きのため、非冷房のまま廃車となった。秩父鉄道では後釜として、都営地下鉄から三田線用6000形を導入している。

編成図

デハ2304 デハ2304 デハ2204 デハ2204 デハ2104 デハ2104 デハ2004 デハ2004
デハ2304 デハ2304 デハ2204 デハ2204 デハ2104 デハ2104 デハ2004 デハ2004
デハ
2304
(Mc)
デハ
2204
(M)
デハ
2104
(M)
デハ
2004
(Mc)
← 羽生・熊谷 影森・三峰口 →

 見ての通り、4両編成全車が電動車。埼玉県秩父地方は勾配区間が多いため、秩父鉄道ではこのような出力の大きい車輌が重宝されているようだ。

はじめに

 前回の作品について見直し、同じ車種であるがもう一度作ることにした。東急7000系を種車としているが、これで3度目になるわけであるから、このキットの特徴などに気付いて落ちついた製作ができるよう心がけた。なお、冒頭にもある通り、作業工程など記事に重複する部分があるので、その辺はご容赦いただきたい。

製作記事

 作成の上での注意事項などを追加している。

材料

 プラ板が必要であること以外は、東急7000系を作るときと何ら変わりが無い。

改造事項

 秩父鉄道2000形の製作では、若干の改造が必要である。埼玉県北部・秩父地域の冬場はとても寒いことから、実車には貫通路に扉を設置するという工事が施工された。これは、国鉄(JR)211系の1000番台が半自動ドアになっていることと条件としては一緒である。模型でもこれを再現する為に1mmのプラ板を切って、車端部妻面に取りつけることになっている。戸袋だけ取りつけるだけでなく、扉自体も適当に作ってみた。

やらなくても良い改造事項

 マッハ模型から発売されている「発光テルライト(赤)」を組み込み、テールランプが点灯するようにしようと試みた。余る7200系用のマスクに穴を開ける練習をしたがこれに失敗。当時ピンバイスを持っていなかったため、目打ちで穴を開けていたのだが、狙いを外しやすいほか、マスクパーツ自体にダメージを与える恐れがあるため、これらの作業は見送ることにした。

 将来テールライトか室内灯を取りつけることを想定して、床板には配線を通すための穴を開けていたり、乗務員室を遮光するためにプラ板で壁を作っていたり。技術を持っていない割には悪あがきをしている。

 さらに、上野のヤマシロヤでみつけた「夜光塗料」(メーカー不明)を、屋根板の裏に貼り付けた天井(プラ板)に塗っていたりして、室内灯が取り付けられなくても、なんとか光るようにしようと試みている。

加工

 続いては、東急7000系を作る場合に必要な作業である。キットに入っている屋根板は4枚とも共通の彫刻が施されている。これは製作する車両に合わせて、パンタ台を削ったり、通風口用の突起、それにアンテナ線を削ったりしなくてはならないのである。全ての屋根に必要な加工であるため、少々面倒である。

 パンタ台や配管を削るのはそんなに大変ではないのだが、通風器を取りつける台座みたいな彫刻はなにかと頑丈なので、紙ヤスリよりは角ヤスリ・棒ヤスリのほうが便利であろう。当時、私は角ヤスリや棒ヤスリを持っていなかったので、美術用ナイフや紙ヤスリで削っていた。

 また、側板をランナーから取り外す時には、床下方向へ伸びる謎の突起部分(名称失念)を誤って切断しないように気をつけねばならない。東急7000系の特殊な部分であるが、東急7700系を作る際には切除することになっている。

組み立て(塗装前)

 まずはボディ関係であるが、羽生側の妻面には前述した通りプラ板を取りつける。次いで、ボディを四角く組む。また、屋根関係については、通風器、パンタグラフの周辺機器の取り付けを行う。ただし、この時点ではパンタグラフそのものは取り付けない。床板については、床下機器、重りなども指定の通りに取りつける。

 なお、屋根板は反れていたりもするので、あとで行う組立接着の際には十分注意。ボディを四角く組んだあとに、屋根板が収まるかどうかをチェックしておくべきである。セロハンテープなどで仮に組んでみて確認するのが良い。

塗装

 先頭車については、最初にMr.カラーのスカイブルーを吹きつける。これは前面部の帯の色である。これが乾いたあと、マスキングテープを1.4mm程度の太さに切って、帯部分に貼りつける。ヘッドライトの丸いところはうまく切り取る必要がある。マスキングをしたあと、もう一度スカイブルーを吹きつける。テープとボディの隙間にスカイブルーの粒子を流れ込ませ、このあと吹きつける銀色が染み込まないようにするためである。

 スカイブルー関係の塗装作業が終わったところで、中間車も含め、ボディには銀色を吹きつける。発色が良いため、厚塗りをすることは恐らくないであろう。なお、屋根板にはグレー、床板と台車にはブラックを塗装する(※当時、パイオニア台車はなぜか京王井の頭線3000系用のグレーのタイプしか発売されていなかった)。

組み立て(塗装後)

 四角く組んだボディに屋根板を取りつける。屋根板が反れている場合があるので、接着後に浮き上がらないよう、しっかりと接着する。

デカール

 ボディにデカールを貼りつける作業である。デカールとはシールとは異なり、絵を転写する事である。必要な絵(マークなど)を切り、水に浸して、台紙から外し、貼りつける。

 本来は東急ロゴマーク(TOKYU CORPORATION)を取り付ける部位に秩父鉄道のロゴマークを貼りつける。2000系の形式番号を貼りつけるが、1の位(編成番号か製造番号にあたるやつ)で1番(2001〜2301)は前回のときに使ってしまったので、今回は2004〜2304までを使用。また、先頭車には行先を貼りつける。行先は、「三峰口」「影森」「熊谷」「羽生」の4種類から選択できる。今回は影森行きとし、区間運転のバージョンとしておく。これら、デカールは細かい作業であるが根気強く続け、無事に定位置に貼り付けが完了した。

表面保護

 デカールを使ったときは、クリアスプレーを吹きつけて、塗装と共に表面を保護する。厚塗りをすると、泡がたったり、乾いたらボロボロ崩れ落ちてしまう恐れがあるため、薄く塗る事が肝要である。

その他・仕上げ

 最後に、車体に窓ガラスを接着して、床下部分に台車をはめこんで車体と組み合わせ、パンタグラフを屋根に取り付けて完成である。

作品画像

全景

全景

 編成全体を写真に収めてみたもの。隣に並べてあるのは、同じく秩父鉄道の800系

デハ2304

デハ2304

 羽生側の先頭車。

デハ2204

デハ2204

 パンタグラフの無い中間電動車。

デハ2104

デハ2104

 パンタグラフ付きの中間電動車。

デハ2004

デハ2004

 三峰口側の先頭車。銀の塗装が一部剥げているのは運転会等における脱線転覆事故の傷跡。

改造点

改造点

 説明書にある通り、デハ2304を除く各車の羽生側の妻面には貫通扉(外付けの戸袋)を取り付ける。プラ板を切って戸袋を取りつけた。なお、個人的な趣味なのか、扉も付けてみたが。

 現時点(製作当時)で、これまでで最も良い仕上がりといえる(自画自賛)。前回の作品と比較するとまるで全般検査明けの新車状態に見える(やっぱり自画自賛)。ただし、その後の運転会で脱線転覆や、ケース内での摩擦で一部の塗装が剥げたりしているのが残念。また、使い回しの関係で走行回数が多かったため、モーターの回転を台車のギヤに伝える部分が磨り減ったため、動力ユニットは走行不能な状態にある。部品の交換もしくは修理に出す必要がある(いずれもGM大山店GM秋葉原店に行くか連絡をする必要があるため面倒だ)。

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